岡田益吉先生は次のように言います。
「また人間も鳥も魚も成長すると全く違う形なのに、発生していく時に、卵から変わる『胚』は、なぜかみんな似ています。これは生物が似た構造を持っており、先祖の特徴が何らかの形で子孫に残されているということの証拠です。これらのことから生物は共通の先祖を持っていて、途中から道が分かれて、皆違う進化の道をたどってきたと言えます。」
このような考えは果たして正しいのでしょうか。これは進化の証拠として、あらゆる生物の教科書に出てくる発生反復説によるものです。この説は1634年ドイツ生まれのエルンスト・ハインリッヒ・アウグスト・ヘッケルによって唱えられたものでその説はよく「個体発生は系統発生を繰り返す」と言うことばで要約され、宣伝されてきました。それは生物は個体発生の過程において進化の道筋(系統発生)をたどりながら過去から現在までの過程を再現しているのだという説です。

確かに脊椎動物の胚を比較すると、発生初期はどれもよく似ていて、さい裂(えらあな)や尾を持つほか、心臓などもすべて一心房一心室の時期を経過します。しかし、実際にはこの似ていることは、いたって表面的なものである場合が多いのです。たとえば先にあげたえらあなですが人間の胎児には、1ヶ月くらいの時に、やがて首になる部分にひだができます。見ようによっては、魚のえらに見えなくも無いのですがそのえらのように見えるものはやがて徐々にあごや首に発達していくのです。

そればかりが発生反復説を証明しているとしてよく利用されている右にある個体発生図自体が捏造されたものであることを皆さんはご存知でしょうか。ヘッケルは自分の説に都合が良いようにヒトの胎児の胚の必須器官のなんと半分以上を切り取った偽物を作っていたのです。しかしライプチヒ大学解剖学教授で当時有名な比較発生学者であったウィルヘルム・ヒズがこの偽りを見抜きました。そして、1908年までには彼の手口は徹底的にあばかれ彼は科学的調査研究者としては信頼を失ってしまったとのことです。このような学者たちから100年も前に認められなくなった学説をもとに平気で発生直後の胚が似ているから・・・などと言うのは大変間違った発言です。
