津久野キリスト恵み教会

ふくいん61号 -2017.10-

デイビッド・ブラウン氏の心の遍歴

これは、以前日本でキリストの福音を宣べ伝えた宣教師についての実話をもとにした話です。(※詳しくは、小冊子「イワノフの悪夢」に掲載)

デイビッド・ブラウン氏(仮名)は三十五歳を過ぎたところで、すでにイギリスの一流企業の営業部長の地位に就いていました。それは、彼が革新的な発想で会社の窮地を救い、多くの新製品を生み出した業績が評価された結果でした。さらに、彼には大学で知り合い、学生結婚した美しい妻がいました。そして、二人の間には、小学校二年生になるデイビッド・ジュニアと呼ばれる息子がいました。彼は公私ともに順風満帆な生活を送っていたのです。

しかし、ある時彼が営業会議に出ていると、妻から緊急の電話がかかって来ました。何と、今朝まで元気だったデイビッド・ジュニアの容体が急変して、病院にいるということでした。ブラウン氏が急いで病院に行くと、息子は虫の息でした。彼は病室に入って、息子を抱えました。誰の目にも、デイビッド・ジュニアが危険な状態であることは明らかでした。また、本人にもそのことは分かっていたのです。その時、デイビッド・ジュニアはブラウン氏に尋ねました。

「お父さん。僕、死んだらどこに行くの? どうなるの?」

「デイビッド、そんなこと言うんじゃない。死にやしない。大丈夫だ。」

ところが、デイビッド・ジュニアの心臓は徐々に弱って行き、ブラウン氏の腕の中で、息を引き取りました。それまで幸せだった生活が、それ以降は一変してしまいました。彼の妻は息子の死が受け入れられず、ふさぎ込み、夫に当たるようになりました。夫は、ストレスから酒場に夜遅くまで出入りするようになりました。

また、ブラウン氏にはもう一つ、重大な悩みがありました。それは、死を目の前にした息子の「人間は死んだら、どこに行くのか?」という問いかけに答えられなかったことです。

再び教会へ

実は、ブラウン氏にとって家族を失うのは初めてではありませんでした。彼の弟も、九歳の時に病気で死んでしまったのです。しかし、ブラウン氏の両親は熱心なクリスチャンでした。そして、息子を失った時の両親の様子は、自分とはずいぶん違っていました。悲しみの中にも希望があり、天国で再び息子と会えると言って、悲しみに負けることはなかったのです。ブラウン氏自身、子どもの頃は教会に行っていたのですが、途中で両親に反発し、それからは神を無視した人生を送っていました。

自分と両親の態度の違いは、キリストを信じる信仰にあるのだと気づいたブラウン氏は、友人の紹介で再び教会に行くようになりました。そして、人間はみな神によって造られたにも関わらず、多くの罪を犯している罪人であること、そして死後には罪に対するさばきがあり、そのさばきとは火の燃える永遠の地獄での刑罰であることを聞きました。しかし、その恐ろしい地獄から私たちを救うために、神の御子イエス・キリストが天からこの地上に人となって来てくださり、私たちの身代わりにさばきを受けて十字架上で命を捨ててくださったことを聞いたのです。さらに、死なれたイエス・キリストが三日目に肉体をもってよみがえられたこと、イエス・キリストを信じる者は誰でも罪が赦され、天国に入ることができるという救いのメッセージを聞きました。

決心

彼にとって、聖書が語るメッセージを受け入れることは、イエス・キリストを信じないで死んだ自分の息子が地獄に行ったことを認めることをも意味していました。彼は最初、抵抗を感じて反発しました。

しかし、事実を確かめようとした彼は、その後も教会に行き、牧師と話をしました。すると、聖書が語っているイエス・キリストの十字架と復活が歴史的事実であることを否定できなかったのです。キリストの復活が事実でなければ、聖書が今のように世界中に広がったことも、弟子たちが命がけで世界宣教に出て行ったことも何一つ説明がつかないのです。もっとも客観的な結論は、聖書が神のことばであり、イエス・キリストはよみがえられた救い主であるということでした。

そのことが分かった彼は、心を痛めました。神はご自分の御子を十字架につけてまで、救いを用意してくださっていたのです。それなのに、自分が神を無視して生きて来たがゆえに、息子に何も伝えることができなかったのです。それから、彼はイエス・キリストを信じる決心をしました。また、妻にも教会に行くように勧めました。その結果、彼の妻もクリスチャンになったのです。

彼はその後、日本の多くの家庭の子どもたちが救い主について知る機会がないことに心を痛め、戦後の日本に宣教師として来日しました。そして、関東のある町で二十年近く、熱心にイエス・キリストの福音を宣べ伝えました。彼は、「私の息子は、この私の腕の中で死にました。その時、私は彼にイエス・キリストの救いを伝えることができませんでした。だから、息子は今地獄にいるのです。しかし、皆様方は救われることができます。どうか、イエス・キリストを信じて救われてください。」と涙ながらに聴衆に訴えたそうです。

あなたはどうですか?

さて、あなたはご自分が死後、どこに行かれるかをご存知ですか。また、大切な家族から同じ質問をされたらどう答えますか。気休めのために「天国に行くのだよ」と答えますか。それとも、根拠なしに、「人は死んだら消えてなくなる」と決めつけるでしょうか。

聖書には次のようにはっきり書かれています。

「人間には、一度死ぬことと死後にさばきを 受けることが定まっている」─ 新約聖書へブル人への手紙9章27節 ─

だからこそ、神様はあなたを、またあなたの家族を罪のさばきから救うために救い主イエス様をお与えくださったのです。どうか、聖書の語る福音に耳を傾ける方になってください。

「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」─新約聖書ヨハネの福音書3章16節─